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バイスティックの7原則を徹底解説:訪問看護の「困った」を解決

2025.09.30

「患者さんとの関係がなかなかうまくいかない」「もっと質の高い看護を提供したい」 訪問看護師として、そんな悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。患者さんとの信頼関係を築き、その人らしい生活を支えるためには、バイスティックの7原則を理解し、実践することが不可欠です。この記事では、バイスティックの7原則の意味から、訪問看護の現場で活かす具体的な方法、そして、明日から使える実践例までをわかりやすく解説します。この記事を読めば、あなたも患者さんとのより良い関係を築き、自信を持って看護を提供できるようになるでしょう。

1. バイスティックの7原則とは?訪問看護でなぜ重要?

訪問看護において、患者さんとの信頼関係を築き、質の高いケアを提供するためには、バイスティックの7原則の理解が不可欠です。この章では、バイスティックの7原則とは何か、そして訪問看護においてなぜ重要なのかを解説します。

1-1. バイスティックの7原則とは?

バイスティックの7原則とは、対人援助における倫理的原則であり、ソーシャルワークの父と呼ばれるフェリックス・P・バイスティックによって提唱されました。この原則は、援助者とクライアントの関係性を構築し、効果的な支援を行うための基盤となります。7つの原則は、それぞれが独立して存在するのではなく、相互に関連し合いながら、より良い関係性を育むために機能します。

具体的には、以下の7つの原則から構成されています。

  • 個別化(Individualized consideration)
  • 意図的な感情表出(Purposeful expression of feelings)
  • 統制された情緒的関与(Controlled emotional involvement)
  • 受容(Acceptance)
  • 非審判的態度(Non-judgmental attitude)
  • 自己決定(Client self-determination)
  • 秘密保持(Confidentiality)

これらの原則は、患者さん一人ひとりのニーズに応じたケアを提供し、患者さんの感情を理解し、尊重し、自己決定を支援するために重要です。訪問看護では、患者さんの自宅というプライベートな空間でケアを行うため、これらの原則を遵守することが、より一層重要となります。

1-2. 訪問看護における7原則の重要性

訪問看護においてバイスティックの7原則が重要である理由は、患者さんと看護師の関係性が、ケアの質に大きく影響するからです。訪問看護は、患者さんの生活の場に直接介入するため、信頼関係がなければ、十分な情報が得られず、適切なケアを提供することが難しくなります。また、患者さんの価値観や生活習慣を尊重し、自己決定を支援することも、患者さんのQOL(生活の質)を向上させる上で不可欠です。

7原則を意識することで、看護師は患者さんの感情に寄り添い、信頼関係を築きやすくなります。例えば、患者さんの話を丁寧に聞き、共感的な態度を示すことで、患者さんは安心して自分の気持ちを表現できるようになります。また、患者さんの自己決定を尊重することで、患者さんは主体的に治療に参加し、前向きな気持ちで生活を送れるようになります。

さらに、7原則を理解し実践することは、倫理的な問題を回避し、法的リスクを軽減することにもつながります。例えば、秘密保持の原則を遵守することで、患者さんの個人情報を保護し、信頼関係を損なうことを防ぐことができます。これらのことから、バイスティックの7原則は、訪問看護師が質の高いケアを提供し、患者さんのQOLを向上させるために、非常に重要な基盤となるのです。

2. 各原則の詳細と訪問看護での活かし方

この章では、バイスティックの7原則を一つずつ詳しく見ていきましょう。各原則の意味を理解し、訪問看護の現場でどのように活かせるのか、具体的な方法と注意点、そして実践例を提示します。各原則を理解することで、患者さんとの信頼関係をより強固にし、質の高い看護を提供できるようになります。

2-1. 個別化の原則:一人ひとりに合わせた看護

個別化の原則とは、患者さん一人ひとりが異なる存在であり、それぞれの個性、価値観、生活背景を尊重し、その人に合った看護を提供することです。画一的なケアではなく、患者さん個々のニーズに合わせてケアプランを立てることが重要です。訪問看護では、患者さんの自宅という生活の場に足を踏み入れるため、個別化は特に重要になります。

例えば、

  • 病状
  • 生活環境
  • 価値観
  • 家族構成

などを考慮し、ケアプランを立てます。例えば、同じ糖尿病の患者さんでも、食事内容や生活習慣は異なります。それぞれの患者さんに合わせた食事指導や生活指導を行うことが、個別化された看護の第一歩です。また、終末期にある患者さんの場合、身体的な苦痛だけでなく、精神的なサポートも必要になります。患者さんの価値観や人生観を尊重し、その人らしい最期を迎えられるように支援することも、個別化された看護の重要な側面です。

具体的な実践例

  • 初回訪問時に、患者さんのこれまでの生活歴や価値観、病気に対する思いなどを丁寧に聞き取り、記録する。
  • 患者さんの希望や意向を尊重し、ケアプランを一緒に作成する。
  • 患者さんの状態に合わせて、ケア内容や方法を柔軟に変更する。
  • 患者さんの家族や関係者との連携を密にし、情報共有を行う。

注意点

個別化された看護を提供するためには、患者さんに関する情報を収集し、分析する能力が不可欠です。また、患者さんの価値観を尊重し、自分の価値観を押し付けない姿勢も重要です。さらに、患者さんの状態やニーズは常に変化するため、定期的にケアプランを見直し、改善していく必要があります。

2-2. 意図的な感情表出の原則:感情に寄り添う

意図的な感情表出の原則とは、患者さんの感情を理解し、適切に表現することを指します。患者さんが抱える不安や恐怖、怒りなどの感情に寄り添い、共感的な態度を示すことが重要です。感情を抑圧するのではなく、適切な方法で表現することを促し、患者さんの心のケアを行います。訪問看護では、患者さんの自宅というリラックスできる空間でケアを行うため、患者さんは自分の感情を表現しやすくなります。

具体的な実践例

  • 患者さんの話に耳を傾け、相づちを打ったり、うなずいたりして、共感的な態度を示す。
  • 患者さんの気持ちを言葉で表現し、「つらいですね」「お辛いですね」などと共感を示す。
  • 患者さんが感情を表現しやすいように、安心できる雰囲気を作る。
  • 患者さんが感情的になっている場合は、落ち着くまで寄り添い、見守る。

注意点

患者さんの感情に寄り添うことは重要ですが、感情に巻き込まれすぎないように注意が必要です。自分の感情をコントロールし、冷静な対応を心がけましょう。また、患者さんの感情を否定したり、批判したりすることは避け、受容的な態度で接することが大切です。必要に応じて、他の専門家(医師やカウンセラーなど)との連携も検討しましょう。

2-3. 統制された情緒的関与の原則:感情のコントロール

統制された情緒的関与の原則とは、患者さんの感情に寄り添いつつも、看護師自身の感情をコントロールし、冷静さを保つことです。患者さんの感情に深く共感することは大切ですが、それによって看護師自身が疲弊してしまったり、客観的な判断ができなくなったりしては、適切なケアを提供できません。感情のバランスを保ち、プロフェッショナルとしての役割を果たすことが求められます。

具体的な実践例

  • 患者さんの話を聞く際には、自分の感情を意識し、客観的な視点を保つ。
  • つらい話を聞いた後や、感情的な場面に遭遇した後は、意識的に気分転換をする。(休憩をとる、同僚に相談するなど)
  • 患者さんの感情に引きずられそうになった場合は、一度立ち止まり、深呼吸をして冷静さを取り戻す。
  • 必要に応じて、スーパービジョン(上司や先輩看護師からの指導)を受け、感情的なサポートを得る。

注意点

感情をコントロールすることは、容易ではありません。看護師として経験を重ねる中で、徐々に身につけていくものです。一人で抱え込まず、同僚や上司に相談したり、専門家のサポートを受けたりすることも大切です。また、自分の感情に気づき、自己理解を深めることも重要です。

2-4. 受容の原則:ありのままを受け入れる

受容の原則とは、患者さんの人格、価値観、行動を、良い面も悪い面も含めて、ありのままに受け入れることです。患者さんを批判したり、評価したりすることなく、尊重の念を持って接することが重要です。受容的な態度を示すことで、患者さんは安心感を得て、自己肯定感を高めることができます。訪問看護では、患者さんの自宅というプライベートな空間でケアを行うため、受容的な態度は特に重要になります。

具体的な実践例

  • 患者さんの話を聞く際には、否定的な意見や批判的な言葉を使わない。
  • 患者さんの価値観や考え方を尊重し、理解しようと努める。
  • 患者さんの長所や良い面を見つけ、積極的に褒める。
  • 患者さんの欠点や弱点も受け入れ、改善を促すような言葉かけをする。

注意点

受容の原則は、患者さんの行動を全て肯定することではありません。不適切な行動に対しては、適切な指導や助言を行う必要があります。しかし、その際も、患者さんの人格を否定するような言動は避け、あくまでも行動そのものに焦点を当てることが重要です。また、自分の価値観を押し付けず、患者さんの自己決定を尊重することも大切です。

2-5. 非審判的態度の原則:価値観を押し付けない

非審判的態度の原則とは、患者さんの価値観や行動を、自分の価値観で判断しないことです。看護師は、患者さんの置かれた状況や背景を理解し、偏見や先入観を持たずに接することが求められます。患者さんの価値観を尊重し、自己決定を支援することが、質の高い看護につながります。訪問看護では、患者さんの生活習慣や価値観を尊重することが、信頼関係を築く上で不可欠です。

具体的な実践例

  • 患者さんの意見や考えを尊重し、自分の意見を押し付けない。
  • 患者さんの文化的背景や宗教的信条を理解し、配慮したケアを提供する。
  • 患者さんの過去の行動や選択を非難せず、現在の状況を受け入れる。
  • 患者さんの自己決定を支援し、必要な情報を提供する。

注意点

非審判的態度を保つためには、自分の価値観を客観的に見つめ、偏見や先入観に気づくことが重要です。また、患者さんの置かれた状況や背景を理解しようと努め、多角的な視点を持つことも大切です。もし、どうしても理解できないことや、受け入れがたいことがあった場合は、同僚や上司に相談し、客観的なアドバイスを求めることも有効です。

2-6. 自己決定の原則:意思を尊重する

自己決定の原則とは、患者さんが自分の人生や治療に関する決定を、自らの意思で行うことを尊重することです。看護師は、患者さんが十分な情報を得て、自分の意思で決定できるよう支援することが重要です。患者さんの自己決定を尊重することで、患者さんは主体的に治療に参加し、QOL(生活の質)の向上につながります。訪問看護では、患者さんの生活の場において、自己決定を支援することが、その人らしい生活を支える上で不可欠です。

具体的な実践例

  • 治療やケアに関する情報を分かりやすく説明し、患者さんが理解できるようにする。
  • 患者さんの意見や希望を丁寧に聞き取り、記録する。
  • 患者さんが自分で選択できるように、複数の選択肢を提示する。
  • 患者さんの自己決定を尊重し、無理強いしない。

注意点

自己決定を支援するためには、患者さんが十分な情報を得られるように、わかりやすく説明することが重要です。専門用語を避け、患者さんの理解度に合わせて説明するように心がけましょう。また、患者さんの意思を尊重し、たとえ自分の考えと異なっていても、患者さんの決定を支持することが大切です。ただし、患者さんの決定が、本人や周囲の人々の安全を脅かす可能性がある場合は、慎重に対応し、多職種連携を図りながら、最善の策を検討する必要があります。

2-7. 秘密保持の原則:情報を守る

秘密保持の原則とは、患者さんの個人情報やプライバシーを守ることで、患者さんの信頼を得るために不可欠です。看護師は、業務上知り得た患者さんの情報を、許可なく第三者に漏らしてはなりません。秘密保持を徹底することで、患者さんは安心して治療やケアを受けることができます。訪問看護では、患者さんの自宅というプライベートな空間でケアを行うため、秘密保持は特に重要になります。

具体的な実践例

  • 患者さんの情報を、許可なく家族や関係者に話さない。
  • 記録や報告は、個人情報が特定できないように配慮する。
  • 患者さんの情報を、鍵のかかる場所に保管する。
  • 情報漏洩のリスクを理解し、細心の注意を払う。

注意点

秘密保持は、看護師にとって最も重要な倫理的義務の一つです。情報漏洩は、患者さんの信頼を失墜させるだけでなく、法的責任を問われる可能性もあります。患者さんの情報を扱う際には、常に細心の注意を払い、疑問点があれば、上司や同僚に相談するようにしましょう。また、個人情報保護に関する研修を定期的に受講し、知識をアップデートすることも重要です。

3. 訪問看護の場面別:7原則の具体的な適用例

訪問看護において、バイスティックの7原則は、患者さんとの信頼関係を築き、質の高い看護を提供するための基盤となります。この章では、訪問看護の様々な場面、すなわち初回訪問、情報収集、ケア提供、そして終末期看護において、7原則をどのように適用できるのか、具体的な事例を交えて解説します。各場面での具体的な言動や対応例を知ることで、明日からの訪問看護に役立てることができるでしょう。

3-1. 初回訪問時

初回訪問は、患者さんと看護師の関係性を築く上で非常に重要な場面です。この段階で7原則を意識することで、その後の信頼関係の構築がスムーズに進みます。

  • 個別化: 初めて会う患者さんの情報を丁寧に聞き取り、その方の病状や生活背景、価値観などを理解することから始めます。「どのようなことで困っていますか?」「今までどのような生活を送られてきましたか?」といった質問を通して、患者さんの全体像を把握します。例えば、食事の好みや生活リズム、家族構成などを把握し、その後のケアプランに反映させます。
  • 意図的な感情表出: 患者さんが不安を感じている場合は、「何か心配なことはありますか?」と声をかけ、共感的な態度を示します。患者さんの気持ちに寄り添い、安心感を与えることが大切です。笑顔で接することも有効です。
  • 統制された情緒的関与: 患者さんの話に共感しつつも、冷静さを保ち、客観的な視点を失わないようにします。感情的になりすぎず、プロフェッショナルな対応を心がけましょう。
  • 受容: 患者さんのこれまでの生活や価値観を尊重し、ありのままを受け入れます。たとえ理解できない価値観があったとしても、頭ごなしに否定せず、まずは受け入れる姿勢を示しましょう。
  • 非審判的態度: 患者さんの生活習慣や過去の選択について、自分の価値観で判断しないようにします。患者さんの置かれた状況を理解しようと努め、偏見を持たずに接しましょう。
  • 自己決定: 今後のケアについて、患者さんの希望や意向を丁寧に聞き取り、一緒にケアプランを作成します。患者さんが主体的に治療に参加できるよう、選択肢を提示し、自己決定を支援します。
  • 秘密保持: 患者さんの個人情報やプライバシーを厳重に守ります。初回訪問で得た情報は、許可なく家族や関係者に話さないようにしましょう。

3-2. 情報収集時

情報収集は、患者さんの状態を正確に把握し、適切なケアを提供するために不可欠なプロセスです。7原則を意識することで、より質の高い情報収集が可能になります。

  • 個別化: 患者さん一人ひとりの病状や生活状況に合わせて、必要な情報を収集します。例えば、既往歴、アレルギー歴、現在の服薬状況、生活習慣などを詳細に聞き取ります。患者さんの言葉だけでなく、表情や仕草からも情報を読み取りましょう。
  • 意図的な感情表出: 患者さんが病気や治療について不安を感じている場合は、「何か心配なことはありますか?」と声をかけ、共感的な態度を示します。患者さんの気持ちに寄り添い、安心感を与えることが大切です。
  • 統制された情緒的関与: 患者さんの話に共感しつつも、冷静さを保ち、客観的な視点を失わないようにします。感情的になりすぎず、必要な情報を漏れなく収集しましょう。
  • 受容: 患者さんの訴えを丁寧に聞き、ありのままを受け入れます。たとえ理解できない訴えがあったとしても、まずは受け入れる姿勢を示し、傾聴することが大切です。
  • 非審判的態度: 患者さんの生活習慣や価値観について、自分の価値観で判断しないようにします。患者さんの置かれた状況を理解しようと努め、偏見を持たずに接しましょう。
  • 自己決定: 今後の治療方針やケアについて、患者さんの意見を尊重し、一緒に話し合います。患者さんが納得して治療に臨めるように、十分な情報を提供し、自己決定を支援します。
  • 秘密保持: 患者さんの情報は厳重に管理し、許可なく関係者に漏らさないようにします。記録は正確かつ客観的に行い、個人情報が特定できないように配慮しましょう。

3-3. ケア提供時

ケア提供は、患者さんのQOL(生活の質)を向上させるために最も重要な場面です。7原則を意識することで、患者さんとの信頼関係を深め、質の高いケアを提供することができます。

  • 個別化: 患者さんの状態やニーズに合わせて、ケア内容や方法を柔軟に変更します。例えば、入浴介助の際には、患者さんの身体状況や好みに合わせて、温度や入浴時間を調整します。食事介助の際には、食事の形態や味付けを工夫し、患者さんの食欲を刺激します。
  • 意図的な感情表出: 患者さんが痛みや不快感を感じている場合は、「痛いですね」「つらいですね」と声をかけ、共感的な態度を示します。患者さんの気持ちに寄り添い、安心感を与えることが大切です。
  • 統制された情緒的関与: 患者さんの感情に寄り添いつつも、冷静さを保ち、適切なケアを提供します。感情的になりすぎると、必要なケアがおろそかになる可能性があります。自分の感情をコントロールし、プロフェッショナルな対応を心がけましょう。
  • 受容: 患者さんの人格や行動を、ありのままに受け入れます。たとえ不適切な行動があったとしても、頭ごなしに否定するのではなく、なぜそのような行動をとるのかを理解しようと努めましょう。
  • 非審判的態度: 患者さんの価値観や考え方を尊重し、自分の価値観を押し付けないようにします。患者さんの自己決定を支援し、その人らしい生活を送れるようにサポートします。
  • 自己決定: 患者さんがケア内容や方法について、自分の意思で決定できるように支援します。十分な情報を提供し、選択肢を提示し、患者さんが納得してケアを受けられるように心がけましょう。
  • 秘密保持: 患者さんのプライバシーを尊重し、ケアに関する情報は、許可なく関係者に漏らさないようにします。記録は正確かつ客観的に行い、個人情報が特定できないように配慮しましょう。

3-4. 終末期看護

終末期看護は、患者さんとその家族にとって、非常にデリケートな時期です。7原則を最大限に活かし、患者さんが穏やかに最期を迎えられるように支援することが重要です。

  • 個別化: 患者さんの価値観や人生観を尊重し、その人らしい最期を迎えられるように支援します。例えば、患者さんの希望に応じて、好きな音楽を流したり、思い出の品を飾ったりします。
  • 意図的な感情表出: 患者さんの不安や恐怖、悲しみなどの感情に寄り添い、共感的な態度を示します。「つらいですね」「寂しいですね」と声をかけ、患者さんの気持ちを理解しようと努めましょう。家族の気持ちにも寄り添い、必要なサポートを提供します。
  • 統制された情緒的関与: 患者さんの感情に寄り添いつつも、冷静さを保ち、適切なケアを提供します。感情的になりすぎると、必要なケアがおろそかになる可能性があります。自分の感情をコントロールし、プロフェッショナルな対応を心がけましょう。
  • 受容: 患者さんの人生や価値観を、ありのままに受け入れます。たとえ理解できないことがあったとしても、否定したり、批判したりせず、尊重する姿勢を示しましょう。
  • 非審判的態度: 患者さんの過去の選択や行動について、自分の価値観で判断しないようにします。患者さんの置かれた状況を理解しようと努め、偏見を持たずに接しましょう。
  • 自己決定: 患者さんが、治療やケアに関する意思決定を、自らの意思で行えるように支援します。十分な情報を提供し、選択肢を提示し、患者さんが納得して意思決定できるようサポートします。アドバンス・ケア・プランニング(ACP)についても、患者さんと話し合い、その意思を尊重します。
  • 秘密保持: 患者さんの個人情報やプライバシーを厳重に守り、家族や関係者に許可なく情報を漏らさないようにします。特に、終末期に関する情報は、慎重に取り扱う必要があります。患者さんの尊厳を守り、安心して最期を迎えられるようにサポートしましょう。

7原則を実践する上での注意点と困難なケースへの対応

7原則を実践する上での注意点

バイスティックの7原則を訪問看護で実践する際には、いくつかの注意点があります。これらの注意点を意識することで、より効果的に原則を活かし、患者さんとの良好な関係を築くことができます。

7原則を実践する上での注意点

  • 自己理解を深める: 看護師自身の価値観や感情を理解し、客観的に自己分析を行うことが重要です。自分の偏見や思い込みに気づき、患者さんとの関係に影響を与えないように注意しましょう。自己理解を深めるためには、定期的な振り返りや、同僚との意見交換、スーパービジョンなどが有効です。
  • 倫理的ジレンマへの対応: 倫理的ジレンマに直面した場合は、一人で抱え込まず、多職種連携や倫理委員会への相談などを通して、適切な解決策を見つけましょう。患者さんの権利を尊重し、最善のケアを提供できるよう努めることが大切です。
  • 記録の重要性: 7原則を実践した内容を記録に残すことは、看護の質を評価し、改善するために不可欠です。客観的かつ具体的に記録し、患者さんの状態やケアの内容、患者さんの反応などを詳細に記録しましょう。記録は、情報共有や多職種連携にも役立ちます。
  • 継続的な学習: 医療は常に進歩しており、患者さんのニーズも多様化しています。7原則に関する知識を深め、実践スキルを向上させるために、継続的な学習を心がけましょう。研修会への参加や、関連書籍の読書、先輩看護師からのアドバイスなどが役立ちます。
  • 多職種連携: 訪問看護は、医師、理学療法士、ケアマネジャーなど、多職種との連携が不可欠です。それぞれの専門性を活かし、患者さんにとって最善のケアを提供するために、積極的に情報共有や意見交換を行いましょう。

困難なケースへの対応

訪問看護の現場では、様々な困難なケースに直面することがあります。7原則を理解し、適切に対応することで、これらの困難を乗り越え、患者さんと良好な関係を築くことができます。

  • 患者さんの拒否: 患者さんがケアを拒否する場合、まずはその理由を丁寧に聞き取りましょう。不安や不満、誤解など、拒否の背景には様々な要因が考えられます。患者さんの気持ちに寄り添い、なぜ拒否するのかを理解しようと努めましょう。そして、患者さんの自己決定を尊重し、無理強いしないことが重要です。代替案を提示したり、他の専門家と連携することも有効です。
  • 家族との対立: 患者さんの家族との間で意見の相違が生じることもあります。家族の不安や要望を理解し、患者さんの意向を尊重しながら、家族とのコミュニケーションを図ることが大切です。双方の意見を調整し、より良いケアを提供できるよう、協力体制を築きましょう。必要に応じて、ケアマネジャーや医師などの専門家を交えて話し合うことも有効です。
  • 情報不足: 患者さんの情報が不足している場合、まずは情報収集に努めましょう。患者さん本人や家族から詳細な情報を聞き取ったり、関連機関との連携を図ったりすることで、必要な情報を収集します。情報不足がケアに影響を与える可能性がある場合は、早急に対応策を検討しましょう。
  • 多忙による時間的制約: 訪問看護師は、多くの患者さんを抱え、時間的な制約の中で業務を行うことがあります。時間内に質の高いケアを提供するためには、優先順位をつけ、効率的に業務をこなす必要があります。ケアプランを見直し、必要なケアに焦点を当てることも重要です。また、他のスタッフとの連携や、記録の簡素化なども有効です。
  • 患者さんの病状悪化: 患者さんの病状が悪化した場合、迅速かつ適切な対応が求められます。患者さんの状態を正確に評価し、医師や関係機関に報告し、必要な措置を講じましょう。患者さんの不安に寄り添い、精神的なサポートを提供することも重要です。終末期看護においては、患者さんと家族の意向を尊重し、安らかな最期を迎えられるよう支援しましょう。
  • ハラスメント: 患者さんや家族からハラスメント行為を受けた場合は、一人で抱え込まず、上司や同僚に相談しましょう。状況を記録し、証拠を確保することも大切です。必要に応じて、法的措置を検討することもできます。安全な職場環境を確保するために、組織としての対応も求められます。

これらの注意点と困難なケースへの対応を理解し、実践することで、訪問看護師は、患者さんとの信頼関係を深め、質の高い看護を提供し、自身の成長にも繋げることができるでしょう。

7原則を活かして、より良い訪問看護を!

この記事では、バイスティックの7原則について、その意味や訪問看護での活かし方を解説してきました。各原則を理解し、実践することで、患者さんとの信頼関係を築き、質の高い看護を提供できるようになります。

7原則を日々の訪問看護で意識し、実践することで、患者さんのQOL(生活の質)を向上させ、看護師としてのやりがいを感じられるでしょう。

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