介護保険と障害福祉、サービスの違いを徹底解説!
2026.04.13
「介護保険サービス」と「障害福祉サービス」は、高齢者や障害のある方を支える重要な制度です。しかし、対象者やサービス内容の違いが分かりにくく、「うちの場合はどちらを使えるの?」と悩む方も少なくありません。
本記事では、両制度の対象者・目的・サービス内容・申請方法などを分かりやすく比較し、併用できる場合や現場でよくある疑問にもお答えします。読めば、制度選びのポイントがスッキリ理解できます。
介護保険サービスとは?
介護保険サービスとは、高齢者の介護を社会全体で支え合うことを目的とした社会保障制度です。住み慣れた地域での生活を継続できるよう、さまざまなサービスが提供されており、利用者の自立した生活を支援するとともに、介護するご家族の負担を軽減する役割も担っています。
介護保険サービスの対象者
介護保険サービスを利用できるのは、原則として65歳以上の方で、市区町村から「要介護認定」または「要支援認定」を受けた方です。ただし、40歳から64歳の方でも、国が定めた特定疾病(がん末期、脳血管疾患など16種類の病気)により介護が必要と認められた場合は、介護保険サービスを利用できます。
介護保険サービスの目的
介護保険サービスの主な目的は、高齢者が尊厳を保持しつつ、可能な限り住み慣れた地域で自立した日常生活を送れるよう支援することです。具体的には、生活の質の向上(QOLの向上)を目指し、介護が必要な状態になっても、その人らしい生活が継続できるよう、多様なサービスを提供しています。
介護保険サービスの根拠法
介護保険サービスは、「介護保険法」に基づき運営されています。この法律は、高齢化の進展に伴い、国民の保健医療の向上および福祉の増進を図ることを目的として、1997年に制定されました。
介護保険で利用できる主なサービス
介護保険では、利用者の状態や生活環境に応じて、さまざまなサービスが提供されています。主に以下の3つの種類に分けられます。
- 居宅サービス 自宅で生活しながら利用するサービスです。
- 訪問介護(ホームヘルプ): ヘルパーが自宅を訪問し、身体介護(入浴、排せつ、食事介助など)や生活援助(掃除、洗濯、買い物など)を行います。
- 訪問入浴介護: 移動入浴車で自宅を訪問し、入浴の介助を行います。
- 通所介護(デイサービス): 日中に施設に通い、食事や入浴、レクリエーション、機能訓練などを受けます。
- 通所リハビリテーション(デイケア): 日中に医療機関や介護老人保健施設などに通い、理学療法士などによるリハビリテーションを受けます。
- 短期入所生活介護(ショートステイ): 短期間施設に入所し、日常生活上の支援や機能訓練を受けます。介護者の負担軽減にもつながります。
- 施設サービス 介護保険施設に入所して利用するサービスです。
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム): 常時介護が必要で自宅での生活が困難な方が入所し、日常生活上の支援や機能訓練、療養上のケアを受けます。
- 介護老人保健施設: 病状が安定し、リハビリテーションを中心とした医療ケアと介護が必要な方が入所します。在宅復帰を目指すための施設です。
- 地域密着型サービス 住み慣れた地域での生活を支援するため、地域の特性に応じた多様なサービスが提供されます。
- 小規模多機能型居宅介護: 「通い」「訪問」「泊まり」のサービスを組み合わせ、利用者の状態や希望に応じて柔軟に提供されます。
- 認知症対応型通所介護: 認知症の方を対象としたデイサービスで、専門的なケアが提供されます。
障害福祉サービスとは?
障害福祉サービスは、障害のある方が地域で自立した日常生活や社会生活を送れるよう支援することを目的とした制度です。一人ひとりの障害の状態やニーズに合わせて、多様なサービスが提供されています。
障害福祉サービスの対象者
障害福祉サービスの対象となるのは、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)、難病のある方々です。具体的には、身体障害者手帳、療育手帳(知的障害)、精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方や、障害支援区分認定の対象となる疾病・状態、または難病法の対象疾病の方などが該当します。障害者手帳の有無にかかわらず、市町村の判断によりサービス利用の対象となる場合もあります。サービス利用には、個々の状況に応じた「障害支援区分」の認定が必要です。
障害福祉サービスの目的
障害福祉サービスの最も重要な目的は、障害のある方が住み慣れた地域で安心して生活し、その人らしい自立した社会生活を送れるように支援することです。具体的には、日常生活の介護や介助、就労に向けた支援、地域での交流促進などを通じて、社会参加を促し、生活の質の向上を目指します。
障害福祉サービスの根拠法
障害福祉サービスの根拠となっているのは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」、通称「障害者総合支援法」です。この法律は、障害のある方が地域社会で共生できる社会の実現を目指し、必要なサービスを総合的に提供することを定めています。
障害福祉で利用できる主なサービス
障害福祉サービスには、利用者のニーズに応じて多岐にわたる種類があります。大きく分けて、自宅や施設での介護を支援する「介護給付」、社会参加や就労を支援する「訓練等給付」、そして地域生活を支援する「地域生活支援事業」などがあります。
具体的なサービス例としては、以下のようなものがあります。
- 介護給付
- 居宅介護(ホームヘルプ): 自宅での入浴、排せつ、食事の介助や家事援助など。
- 重度訪問介護: 重度の肢体不自由者や重度の知的障害・精神障害がある方への長時間の身体介護や家事援助、外出時の移動支援など。
- 生活介護: 常に介護が必要な方に、日中活動の場を提供し、入浴・排せつ・食事の介護や創作的活動、生産活動の機会を提供。
- 短期入所(ショートステイ): 家族の病気などで一時的に自宅での介護が困難な場合に、短期間施設に入所して生活介護などを受けるサービス。
- 共同生活援助(グループホーム): 障害のある方が地域で共同生活を営む住居で、相談や日常生活上の援助を受けるサービス。
- 訓練等給付
- 自立訓練(機能訓練・生活訓練): 身体機能や生活能力の維持・向上のための訓練。
- 就労移行支援: 一般企業への就職を目指す方に、就労に必要な知識や能力向上のための訓練や職場探し、定着支援を行うサービス。
- 就労継続支援(A型・B型): 一般企業での就労が困難な方に、働く場を提供し、知識や能力向上のための訓練を行うサービス。
- 地域生活支援事業
- 相談支援: サービス利用計画の作成や、地域での生活に関する相談。
- 移動支援: 屋外での移動が困難な方に、外出のための支援。
- 地域活動支援センター: 地域の障害のある方が交流し、創作的活動や生産活動を行う場。
介護保険サービスと障害福祉サービス、主な違いを比較
介護保険サービスと障害福祉サービスは、どちらも高齢者や障害のある方を支援するための重要な制度ですが、それぞれ異なる目的や対象者、根拠法を持っています。ここでは、両者の主な違いを具体的な比較項目に沿って詳しく見ていきましょう。
まずは、以下の比較表で全体像を把握してください。
| 比較項目 | 介護保険サービス | 障害福祉サービス |
| 対象者 | 65歳以上または40歳〜64歳で、要介護・要支援認定を受けた方 | 身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病のある方 |
| 目的 | 高齢者の自立支援とQOLの向上を目的とした介護予防、日常生活の支援 | 障害者の自立支援、社会参加の促進、地域生活の継続 |
| 根拠法 | 介護保険法 | 障害者総合支援法、児童福祉法 |
| サービス内容 | 身体介護、生活援助、入浴・排泄・食事などの介助、リハビリテーション、福祉用具貸与、住宅改修など | 居宅介護、重度訪問介護、行動援護、生活介護、短期入所、就労移行支援、グループホームなど多岐にわたる |
| 申請窓口 | 市区町村の介護保険担当窓口 | 市区町村の障害福祉担当窓口、または相談支援事業所 |
対象者の違い
介護保険サービスと障害福祉サービスでは、対象となる方の条件が大きく異なります。介護保険サービスは、原則として65歳以上の方(第1号被保険者)で要介護・要支援認定を受けた方、または40歳から64歳までの特定疾病により要介護・要支援認定を受けた方(第2号被保険者)が対象です。一方、障害福祉サービスは、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病などにより支援が必要と認められた方が対象となり、年齢制限はありません。障害者手帳の有無に関わらず、障害支援区分の認定を受けることで利用が可能になります。
目的の違い
両サービスの目的も明確に異なります。介護保険サービスは、高齢者が尊厳を保持しつつ、可能な限り住み慣れた地域で自立した日常生活を送れるよう支援し、介護予防や生活の質の向上を目指します。それに対し、障害福祉サービスは、障害のある方が地域社会で自立した生活を営み、社会参加を促進することを目的としています。障害の特性に応じた支援を通じて、その人らしい生活を実現できるようサポートします。
根拠法の違い
それぞれのサービスは異なる法律に基づいて提供されています。介護保険サービスは「介護保険法」がその根拠法です。この法律により、介護保険制度の仕組みやサービス内容が定められています。一方、障害福祉サービスは「障害者総合支援法」が主な根拠法であり、児童については「児童福祉法」も適用されます。これらの法律は、障害のある方の権利擁護や自立支援に関する基本的な枠組みを規定しています。
提供されるサービス内容の違い
提供されるサービス内容も、それぞれの対象者や目的に合わせて多岐にわたります。介護保険サービスでは、身体介護(入浴・排泄・食事介助など)、生活援助(掃除・洗濯・買い物など)、リハビリテーション、福祉用具の貸与・購入、住宅改修などが主なサービスです。これに対し、障害福祉サービスは、居宅介護、重度訪問介護、行動援護といった訪問系のサービスのほか、生活介護や短期入所、グループホームなどの日中活動や居住の場を提供するサービス、さらには就労移行支援や就労継続支援といった訓練系のサービスまで、非常に幅広い選択肢があります。共通する部分もありますが、障害の特性に応じた専門的な支援が充実している点が特徴です。
申請窓口の違い
サービスを利用するための申請窓口も異なります。介護保険サービスを利用したい場合は、お住まいの市区町村にある介護保険担当窓口(高齢福祉課など)に相談し、要介護・要支援認定の申請を行います。一方、障害福祉サービスを利用したい場合は、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口(障害福祉課など)に相談するか、または相談支援事業所を通じて申請手続きを進めることになります。まずは、それぞれの地域の担当窓口へ問い合わせてみましょう。
介護保険と障害福祉、サービスは併用できる?
介護保険サービスと障害福祉サービスは、それぞれ異なる目的と対象者を持つ制度ですが、特定の条件下では併用が可能です。特に、65歳以上で障害を持つ方にとっては、どちらのサービスを利用できるのか、あるいは併用できるのかは重要な問題です。ここでは、併用できるケースとできないケースについて解説します。
併用できるケース
介護保険サービスと障害福祉サービスは、以下の条件を満たす場合に併用が可能です。
- 65歳以上で障害を持つ方: 65歳以上で障害を持つ方が介護保険サービスの対象となる場合、原則として介護保険サービスが優先されます。しかし、介護保険では提供されていないサービスや、介護保険の給付対象外となるサービスについては、障害福祉サービスを利用できる場合があります。例えば、重度訪問介護や行動援護といった専門的な支援は、介護保険にはないため、障害福祉サービスとして利用が可能です。
- 介護保険優先原則: 65歳以上の方については、介護保険サービスが優先されるという原則があります。これは、同じ目的のサービスであれば、まず介護保険での利用を検討するというものです。ただし、介護保険では対応できない専門的な支援が必要な場合は、障害福祉サービスが補完的に利用できます。
併用できないケース
原則として、同じ目的のサービスを介護保険と障害福祉サービスの両方で重複して利用することはできません。
- 同一サービスの重複: 例えば、訪問介護サービスを介護保険で利用している場合、同じ時間帯や内容で障害福祉サービスの居宅介護を利用することはできません。これは、サービスの効率的な提供と公平な利用を保つためです。
- 目的が重複するサービス: 日常生活の支援や身体介護など、介護保険と障害福祉サービスの両方に類似のサービスがある場合、どちらか一方を選択して利用することになります。利用者の状態やニーズ、年齢などを考慮し、より適切なサービスを選択することが重要です。
どちらのサービスが利用できるか、また併用できるかについては、お住まいの市町村の窓口や相談支援専門員、ケアマネジャーに相談し、個別の状況に応じた判断を仰ぐことが大切です。
現場でよくある疑問と解決策
ここでは、介護・福祉の現場でよく聞かれる質問や、サービス利用を検討する方が抱きがちな疑問について、具体的な解決策とともに解説します。
「どちらのサービスが優先される?」
高齢で障害も抱えている方がサービスを利用する場合、「介護保険サービス」と「障害福祉サービス」のどちらが優先されるのかという疑問はよく聞かれます。この場合、原則として「介護保険優先原則」が適用されます。これは、65歳以上で介護保険の対象となる方は、まず介護保険サービスを優先的に利用するというルールです。
ただし、介護保険サービスでは対応できない障害固有のニーズがある場合や、障害福祉サービスの方がより専門的な支援を提供できると判断される場合には、障害福祉サービスも利用できます。例えば、重度の視覚障害がある方の同行援護や、精神障害のある方の就労支援などは、介護保険にはない障害福祉サービスとして併用が検討されます。
「障害者手帳がないと利用できない?」
障害福祉サービスの利用には、必ずしも「障害者手帳」が必須というわけではありません。障害者手帳は、障害の有無や程度を証明する重要な書類ですが、障害福祉サービスを利用するための要件は、主に「障害支援区分」の認定とされています。
もちろん、手帳があれば申請手続きがスムーズに進むことが多いですが、手帳がなくても医師の診断書などによって障害の状態が認められれば、サービスの申請は可能です。特に、難病患者の方々は、手帳がなくても障害福祉サービスの対象となる場合があります。この場合も、適切な支援を受けるためには、自治体の窓口や相談支援専門員に相談し、障害支援区分の認定を受ける必要があります。
迷ったときのチェックリスト(簡易版)
介護保険サービスと障害福祉サービス、どちらを利用すべきか迷ったときに、ご自身や利用者様の状況を整理するための簡易チェックリストです。以下の質問に答えることで、最適なサービスを見つけるヒントが得られます。
Q1. 対象者の年齢は?
対象者の年齢は、利用できるサービスを判断する上で重要な要素です。
- 65歳以上の方: 基本的に介護保険サービスの対象となります。
- 40歳から64歳で特定疾病がある方: 介護保険サービスの対象となる可能性があります。
- 65歳未満で、身体障害、知的障害、精神障害、難病などにより支援が必要な方: 障害福祉サービスの対象となります。
Q2. どのようなニーズがあるか?
どのような支援を求めているかによって、適したサービスが異なります。
- 身体介護(入浴・食事介助など)や生活援助(掃除・洗濯など)が中心で、日常生活の支援を求める場合: 介護保険サービスが適している可能性があります。
- 自立した生活を送るための訓練(生活訓練、就労移行支援など)や、地域で暮らすための支援を求める場合: 障害福祉サービスが適している可能性があります。
Q3. 介護保険の要介護認定や障害支援区分は?
これらの認定や区分は、サービスの利用可否や内容に大きく影響します。
- 介護保険の要介護認定を受けている、または申請中である場合: 介護保険サービスの利用に進むことができます。
- 障害支援区分認定を受けている、または申請中である場合: 障害福祉サービスの利用に進むことができます。
まだ認定や区分を受けていない場合は、まずはそれぞれの申請窓口(市区町村の介護保険課や障害福祉課など)に相談し、手続きを進めることをお勧めします。
まとめ:違いを理解し、最適な支援につなげるために
この記事では、介護保険サービスと障害福祉サービスの違いについて、多角的に解説してきました。両制度はそれぞれ異なる背景と目的を持ちながらも、高齢者や障害のある方の生活を支える重要な役割を担っています。この知識を活かし、最適な支援へとつなげていきましょう。
両制度のポイント再確認
介護保険サービスは主に65歳以上の高齢者、または特定疾病のある40歳以上の方向けに、自立支援や介護負担の軽減を目的としています。一方、障害福祉サービスは年齢に関わらず障害のある方を対象に、地域での自立した生活を支援することを目的としています。最も重要なのは、原則として介護保険サービスが優先されるという「優先原則」があることです。
最適なサービス選択のためのステップ
最適なサービスを選択するためには、まず利用者さんの状況やニーズを正確に把握することが重要です。その後、お住まいの市区町村の窓口や地域包括支援センター、相談支援事業所といった専門機関に相談し、適切なサービスプラン(ケアプランや個別支援計画)を作成してもらいましょう。一人で判断せず、専門家のアドバイスを受けながら進めることが成功の鍵です。
困ったときの相談先
制度の理解やサービス選択で迷った際は、一人で抱え込まずに専門家を頼ることが大切です。具体的な相談先としては、お住まいの市区町村の福祉窓口、地域包括支援センター(主に高齢者向け)、障害者基幹相談支援センターや特定相談支援事業所(主に障害者向け)などがあります。これらの機関では、制度の説明から申請手続きのサポートまで、幅広く支援してくれます。
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